第12回研究例会 of 韓国・朝鮮文化研究会

 第12回研究例会

日時:2004年4月3日(土曜日) 午後3時~7時

【発表1】

発表者:佐々充昭(慶応大学非常勤講師)

タイトル:「現代韓国における新霊性運動の行方―精神世界事業団のネットワーク型営業戦略とクリスチャン霊性訓練院の内的治癒セミナーとの比較を通じて-」

発表概要:
 近年、日本の宗教学界では、欧米のニューエイジ運動に影響を受けて展開された「精神世界」の動きを「新霊性運動」と呼んでいる。資本主義による個人主義的な消費文化が発達した現代韓国においても、この「新霊性運動」と同様の文化現象が生じつつある。その際、宗教界がキリスト教と非キリスト教陣営に二分されている韓国社会において、この「新霊性運動」は、主に非キリスト教陣営側において推進されている。一方、神による霊的救済を絶対視するキリスト教側は、ニューエイジ的な運動を、自己の欲望を膨脹させる利己的な反キリスト的異端であると見なしている。しかし、その反面、ニューエイジ文化の大衆化に伴って、キリスト教陣営の中にも、当事者たちに全く意識されない形でニューエイジ的要素が混入する現象が見られる。このようなニューエイジ文化の侵食は、韓国キリスト教の特色である「治癒(healing)」司牧の分野で顕著に見られる。
 本発表では、韓国でニューエイジ運動を主導している「仕掛け人」的な企業体である精神世界事業団の活動と、アメリカ流の「霊的治癒セミナー」の手法を導入し、新種の治癒司牧を試みているクリスチャン霊性訓練院の活動を比較・分析しながら、現代韓国で展開されている「新霊性運動」の最新動向について論じてみたい。

【発表2】

発表者:鄭仁盛(東京大学・外国人研究員)

タイトル:「韓・日出土の漢式土器と楽浪郡遺跡」

発表概要:
 近年、韓国の中南部地域と日本の北部九州を中心に、漢式土器の出土例が増えている。本発表では、こうした土器を集成し、製作技法上の特徴を明らかにしたうえで、その製作地を検証することを一次目的とする。
 さらに製作地の同定によって得られた結果をもとに、当時の三韓や倭の対中交渉の拠点として理解される楽浪郡(帯方郡)の位置を、いま一度検討してみたい。
会場:東京大学(本郷キャンパス)法文1号館・219番教室

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