設立の趣旨 of 韓国・朝鮮文化研究会

〔学会発起時の趣旨文をここに掲げておきます。発起人は発足当時のものです。現在の役員についてはこちらのページをご覧ください。〕

 21世紀にむけて日本と韓国との文化交流も多様化し、さまざまな分野で相互的になろうとしている昨今、日本において韓国・朝鮮の社会や文化に関心を持つ人々が飛躍的に増加していることを実感しております。専門的研究者の数も着実に増えるとともに、その関心の幅はこれまでにない広がりをみせております。

 近年の特徴としては、従来書斎での研究が主流と思われていた人文学の諸領域においても、韓国で現地調査を行ったり、あるいは韓国に長期に滞在したりして現地の事情を広く理解しながら研究を進めるというのが一般的になってきています。それと関連して、人文社会諸科学全体を通じて、複数の研究領域にまたがるような事象への関心の高まり、あるいは相互に密接な関連をもった諸事象に対して複数の研究領域からのアプローチが試みられていることも近年の特徴といえます。

 これまでにも、個々の研究者のあいだでは、お互いの研究成果に関心をよせ、情報の交換を行うなど、研究交流のための努力をはらってまいりました。ただ、それぞれの研究者は異なる研究機関に身を置き、各自の専門領域ごとに別個の学会に所属して研究活動をしている場合が多いため、組織や分野を越えた相互の連絡や共同研究が活発になされてきたとは必ずしもいえません。対象とする文化や社会を広い視野のなかで多角的・多重的に理解し、その研究をさらに深化発展させてゆくためには、専門領域を横断した高度な研究組織を整えることが望まれます。情報交換と討議のための共通の場を設ける機が熟してきたのではないでしょうか。

 以上のような状況に照らし、「現場を重視する研究」をキーワードとして、韓国・朝鮮の社会・文化の研究にかかわる幅広い分野の研究者を結集する新たな研究組織をめざして、「韓国・朝鮮文化研究会」の設立をご提案申し上げる次第です。当面は学会に準ずるようなかたちで、公的に開かれた研究会組織としての活動を開始したいと考えております。具体的には、年1回の研究大会と年2回程度の研究会開催ならびにニューズレターの発行をもって出発し、やがて研究資料・研究成果の情報化や図書の発行なども視野にいれて事業を充実させてゆきたいと考えております。

1999年7月

発起人
朝倉 敏夫 伊藤 亞人 岩本 通弥
川村  湊 神田より子 櫻井 哲男
嶋 陸奥彦 末成 道男 杉山 晃一
竹田  旦 崔  吉城 津波 高志
野村 伸一 服部 民夫 原尻 英樹
秀村 研二 本田  洋 松本 誠一
丸山 孝一 吉田 光男 (五十音順)

韓国・朝鮮文化研究会 事務局
〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学大学院人文系研究科 韓国朝鮮文化研究室内





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