第62回研究例会 of 韓国・朝鮮文化研究会

 第62回研究例会

日時:2017年12月2日(土曜日)15時~17時

会場:東京大学(本郷キャンパス)赤門総合研究棟7階738号室

最寄り駅:本郷三丁目駅(地下鉄丸の内線、大江戸線)
■アクセス:http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/map01_02_j.html
■建物位置:http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_08_02_j.html

赤門を入り右手の建物です。


▽発表者:申明直氏(熊本学園大学教授)

◎題目:華僑華人の変貌と「東アジア市民」の形成

【発表要旨】


 東アジアの構成員は「ナショナル」指向が強いといわれる。韓国や中国はもちろん、東南アジア諸国家の構成員もやはり強いナショナル指向をもつ。これは、長きにわたる植民地の経験、開発/階級独裁の経験等の産物であるともいえるだろう。しかし、こうした厳しい東アジアの現代史の経験は、多様な離散と越境を生み、これは逆説的にも「ナショナル」を越える指向をつくり出してきたこともまた事実である。

 特に華僑・華人の場合、ひとつふたつの国籍やイメージ、用語で説明することは不可能に近いといえ、このことは華僑・華人の歴史性と共時性が複雑に絡み合っていることを意味するものでもある。したがって、本発表では、華僑・華人の市民的性格の変貌過程を、かれらが置かれてきた三つの段階――植民地期、開発/階級独裁期、中国の改革開放以後の時期――に区分して考察するが、国境を越えたかれらのトランスナショナリティがどのように形成されてきたのか、特に国境を越えてかれらがどのように「東アジア市民」となるに至ったのかについて探ってみたい。この際、特に華僑・華人の居住国における地位とその変化に注目しながら、これが居住国の植民地政策や開発/階級独裁政策および中国の改革開放政策とはそれぞれどのような関連をもつのか、韓国にとどまらず東アジアを横断しながら探ってみたい。あわせて、改革開放以後強まった中国経済の影響力がこのことにどのように作用しているのか、近年の「投資移住」に至るまでの流れを踏まえたうえで、移住形態はどのように新たに変貌しているのかについて、東アジアという地域に焦点を当てて考察したい。


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