第66回研究例会 of 韓国・朝鮮文化研究会

 第66回研究例会

日時:2018年12月8日(土曜日)15時~17時

会場:東京大学(本郷キャンパス)赤門総合研究棟7階738号室

最寄り駅:本郷三丁目駅(地下鉄丸の内線、大江戸線)
■アクセス:http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/map01_02_j.html
■建物位置:http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_08_02_j.html

赤門を入り右手の建物です。


▽発表者:新里喜宣氏(日本学術振興会・特別研究員PD)

◎題目:無形文化財としての巫俗―「無形文化財調査報告書」における巫俗言説の特徴と変化

【発表要旨】

 主に1960年代から始動した文化財制度、その中でも「国家無形文化財」としての制度は、これまで多くの巫俗儀礼や音楽に価値を与え、韓国における伝統文化の復興に寄与してきたとされる。他方、巫俗が無形文化財として指定される際に、その宗教性が排除されてきた、ということもまた、既存の研究ではしばしば指摘されてきた。

 巫俗が無形文化財として指定されるにあたって宗教性が排除されてきた、という指摘はおそらく正しい。しかし、であれば、どのように巫俗を文化財として正当化し、宗教的領域を排除したままその文化的領域を包摂しえたのか、という点がまず探究されるべきではないか。本発表は以上の課題を設定し、巫俗が無形文化財として語られる際の論理に注目しようとするものである。

 無形文化財の指定にあたって大きな影響力を誇ったのが「無形文化財調査報告書」である。主に文化財委員によって執筆されたこの報告書をもとに、無形文化財指定の可否が議論されたからだ。よって本発表では「無形文化財調査報告書」、そして「文化財委員会会議録」も参照し、巫俗を無形文化財として強調する際の論理の特徴を考察する。巫俗の宗教性を排除しようとする言説の具体的様相、そして巫俗を文化財として正当化する際に展開される論理に焦点を当てるが、巫俗表象が1960代から80年代にかけて変化していく姿も浮き彫りにすることで、解放後の韓国社会における巫俗に対する視点の変化についても考えてみたい。


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