第75回研究例会 of 韓国・朝鮮文化研究会

 第75回研究例会

 運営委員会での検討の結果、COVID-19の感染拡大に鑑み、第75回研究例会も引き続き、Web会議サービスのZoom上で下記の通り実施しました。


日時:2021年2月6日(土)15時~17時

開催方法:Zoomミーティング

発表者:影本剛(立命館大非常勤講師)


題目:近代朝鮮文学が想像した「プロレタリア」の周縁ーー蔡萬植、李孝石、林和、金史良のテクストからーー

本発表は、近代朝鮮文学において想像された闘うプロレタリアだけではなく、闘うプロレタリアになれない存在たちに注目し、その意義を検討するものだ。近年、朝鮮プロレタリア芸術同盟を軸にしないプロレタリア文学研究が多数発表されており、本発表もその中にある。本発表では、第一に「同伴者作家」と規定されもした蔡萬植と李孝石から、農業労働者と借金の問題、そしてソ連を理想化しない想像力を読み取る。第二に1930年代中盤の林和の批評における社会主義リアリズム受容における葛藤を読解し、それが朝鮮におけるプロレタリア文学の条件を問い、その困難さを問うものであったことを確認する。第三に金史良の文学表現から、1920~30年代朝鮮文学では描かれなかった「朝鮮語ができないこと」を肯定する特異的な民衆像が想像されていた点を読み取る。これらの検討を通して、「闘うプロレタリア」よりも位階的に下位にあるとみなされてきた存在の生き生きとした姿を描く近代朝鮮文学の想像力を確認し、その視座から1930年代朝鮮文学を再確認したい。なお、本発表は発表者の博士論文「朝鮮近代文学と「民衆」形成様相研究」(延世大学国語国文学科�� !"2020、延世大学図書館ホームページ等でダウンロード可)の一部を再構成するものである。



韓国・朝鮮文化研究会 事務局
〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学大学院人文系研究科 韓国朝鮮文化研究室内