第76回研究例会 of 韓国・朝鮮文化研究会

 第76回研究例会

 運営委員会での検討の結果、COVID-19の感染拡大に鑑み、第76回研究例会も引き続き、Web会議サービスのZoom上で下記の通り実施しました。


日時:2021年4月3日(土曜日)15時~18時40分

開催方法:Zoomミーティング

発表者①:田中福太郎(国立国会図書館関西館アジア情報課)


題目:インターネットでできる朝鮮関係情報の探索

国立国会図書館では、調べもの支援サイト「リサーチ・ナビ」内に、当館職員が調べものに有用であると判断した図書館資料、ウェブサイト、各種データベース、関係機関情報等を紹介する「アジア情報の調べ方案内」と、アジア各国の事情及び基本情報、学術情報、ビジネス情報等のサイトを国・地域別及びテーマ別に分類したリンク集である「AsiaLinks-アジア関係リンク集-」を公開しており、いずれも情報探索の際の道しるべとなることを目指して作成している。

本報告では、上記の中から、朝鮮関係情報の探索に有用と思われるウェブ情報源について紹介する。具体的には、韓国国立中央図書館及び国会図書館をはじめとする図書館ウェブサイトのほか、学術論文、史料類、文書類、新聞記事が検索できるウェブ情報源である。

検索エンジンによるキーワード検索に加え、テーマ別に整理されたコンテンツやリンク集を活用することで、研究に必要な情報を、効率よく得ることができるのではないかと考える。



発表者②:荻翔一(大谷大学真宗総合研究所東京分室PD研究員)

題目:在日コリアン教会における韓国系ニューカマーの参与と組織的変容(仮題)

グローバル化を背景とするヒトやモノ等の移動によって、宗教もまた国境を越えて展開している。特定のエスニック集団のための宗教(組織)であるエスニック・チャーチは、異国で暮らす一世たちの「避難所」になるなど、社会的機能を有しているが、時代の経過とともに、移民二世や国際結婚夫婦が一定の役割を占めるようになり、ホスト社会への適応を図るような形態へと変容することが指摘されている。

そこで本発表が注目するのが、在日コリアンのために設立されたプロテスタント教会(在日コリアン教会)である。在日コリアン教会は、戦後の韓国社会におけるキリスト教の急成長やグローバル化の進展を背景とする韓国系ニューカマーの教会参与によって、上記した変容パターンだけではない、多様な展開がみられるようになったからである。

戦前から戦後にかけて設立された在日コリアン教会は、同胞のための教会として、一定の信者を獲得していった。1960年代以降、徐々に信者が二世へと世代交代していく中で、1980年代からは、韓国系ニューカマーの教会参与が顕著に現れるようになった。その頃、二世の「教会離れ」に直面していた在日コリアン教会にとって、この出来事は信者の増加による教会の量的な成長をもたらした。

しかし他方で、韓国キリスト教的な宗教的実践を内面化し、奉仕活動に熱心に取り組み、教会を実質的に支えるようになってきた韓国系ニューカマーをいかに受け入れるかという包摂の在りようと、在日コリアンのためのエスニック・チャーチとしてどのように維持継承していくのか(しないのか)が、各教会の組織運営上の課題となっていったのである。

本発表では、在日コリアン教会がこれらの課題にどのように対応し、その結果、いかなる組織運営が行われていったのかを明らかにすることによって、エスニック・チャーチの多様な展開のパターンを提示することを試みる。



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