第36回研究例会
日時:2010年12月11日(土曜日) 午後3時~5時
会場:東京大学(本郷キャンパス)赤門総合研究棟7階 738号室
最寄り駅:本郷三丁目駅(地下鉄丸の内線、大江戸線)
■アクセス:http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/map01_02_j.html
■建物位置:http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_08_02_j.html
赤門を入って右側の建物です。
当日は土曜日で建物内に入れない可能性があります。(4時までは開いているはずです)その時には研究室の電話03-5841-3636に御連絡下さい。
【発表】
○発表者:松谷基和(早稲田大学アジア研究所)
▽発表題目:初期韓国キリスト教とナショナリズム:「民族教会」という神話を越えて(仮題)
これまで韓国においては、キリスト教は「愛国啓蒙運動」や「抗日独立運動」に代表される近代ナショナリズム運動の推進勢力であり、「教会」は「民族主義」と融合する形で発展してきたと理解されてきた。しかしながら、19世紀末から1910年代までのキリスト教の受容過程を精査するならば、こうした主張には多くの疑問点がある。本発表では、以下の点を中心に、韓国の「キリスト教」は実のところ「民族主義」と融合するのではなく、むしろ葛藤や対立の歴史を歩んできたことを論じたい。
①伝統文化・社会秩序との緊張関係:教会は当時の朝鮮の社会慣習(冠婚葬祭儀礼など)を徹底して否定する活動行っており、教会外の人間からは、自らの伝統を破壊する反社会勢力とみなされていた。従って、土着の文化・伝統を重んじるナショナリズムとは衝突が不可避であった。
②受容層の特徴:初期地方の貧農や都市部の零細民であり、当時の社会を代表するエリート信者はごく少数であった。こうした社会底辺の信者層は、基本的に近代教育とは無縁な人々であり、「民族主義」といった新しい思想運動にも極めて鈍感、消極的であった。
③宣教師の権力:当時の教会は、政治・社会運動への参与を忌避する西洋人宣教師によって支配されており、その意向に逆らう信者は教会から頻繁に除名されていた。また、西洋宣教師から財政的・物質的支援を受ける教会に所属することは、外勢への追随であり、ナショナリズムの立場とは矛盾していた。
韓国・朝鮮文化研究会 事務局
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