第38回研究例会 of 韓国・朝鮮文化研究会

 第38回研究例会

日時:2011年5月14日(土曜日) 午後3時~5時

会場:東京大学(本郷キャンパス)赤門総合研究棟7階 738号室

最寄り駅:本郷三丁目駅(地下鉄丸の内線、大江戸線)
■アクセス:http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/map01_02_j.html
■建物位置:http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_08_02_j.html

赤門を入り右手の建物です。
*当日は土曜日で建物内に入れない可能性があります。(4時までは開いているはずですが)その時には研究室の電話03-5841-3636に御連絡下さい。


【発表】

○発表者:金良淑(東京大学大学院人文社会系研究科)
▽発表題目:「済州島における「堂」と「堂祭」-村、堂、住民、巫者の関係を中心に-」(仮題)

 済州島には、村ごとに村落守護神などを祀る堂(タン)があり、堂では、特定の祭日に巫者の司祭によって堂祭(タンクッ)が行われている。1960年代以降、玄容駿、秦聖麒など地元の研究者によって各村の堂の調査が行われ、その位置や形態、堂神などが明らかとなった。また、堂神の来歴を伝える巫歌「ポンプリ」が数多く採録され、今日では廃堂となっていたり、すでに祭の行われなくなった堂に関しても、蓄積された資料を手にすることができる。

 これまでの堂研究は、形態や神統による堂の分類、あるいは儀礼、ポンプリ研究がその中心であった。また、祭日を中心に短期的な調査が行われてきた。つまり、堂や堂祭そのものに焦点を当てる研究であったといえる。そのため、①個々の村落と堂との関係、②住民による長期的な堂信仰のあり方、③堂祭を担当する巫者と村との関係性については、なかなか見えてこない。堂や堂祭が、設村以来の村の営みと、そこに暮らす住民の生活の中で生み出され、時には変化しながら継続してきたことを考えると、村や住民との関係性に焦点を当てて堂を論じることで、堂や堂祭の意味を明らかにすることができるのではないだろうか。そのためには、各堂が位置する村の地理的条件や自然環境、生業との関連にも注目し、長期にわたる包括的な調査が必要となるだろう。

 また、近代化や産業化、人々の移動にともなって、村の環境や住民構成、生業に大きな変動がもたらされ、堂や堂祭にも様々な変化が見られるようになった。堂祭が行われなくなる村がある一方で、地方文化財に指定され、村をあげて盛大に堂祭が行われている事例もある。また時には、堂祭をめぐって、住民間あるいは住民と巫者の間で葛藤が起きることもある。このような事例は、堂祭が村や住民の結合において、どのような役割を果たしているのか、ということを知る手掛かりともなるだろう。

 以上のような問題関心から、本発表では、発表者が長期フィールド調査を実施した済州島北東部に位置する農村、K里の堂と堂祭の事例を中心に、村、堂、住民、巫者の関係について考察する。K里は標高100~300メートルの中山間に位置する村で、村内には複数の堂が存在する。これらの堂と、近年堂祭をめぐって起きた葛藤を中心に、それぞれの関係についてみていくこととする。

韓国・朝鮮文化研究会 事務局
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