第40回研究例会
日時:2012年2月4日(土曜日) 午後3時~5時
会場:東京大学(本郷キャンパス)赤門総合研究棟7階 738号室
最寄り駅:本郷三丁目駅(地下鉄丸の内線、大江戸線)
■アクセス:http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/map01_02_j.html
■建物位置:http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_08_02_j.html
赤門を入り右手の建物です。
*当日は土曜日で建物内に入れない可能性があります。(4時までは開いているはずですが)その時には研究室の電話03-5841-3636に御連絡下さい。
【発表】
○発表者:権香淑(早稲田大学アジア研究機構招聘研究員、恵泉女学園大学非常勤講師)
▽発表題目:「日本をめぐる中国朝鮮族の移動とその展開」
本報告の目的は、1990年代以降、大規模に移動する中国朝鮮族(以下「朝鮮族」とする)の日本への移動および日本からの移動を取りあげ、その実態的な把握を試みることにある。現在、日本に約5万名以上いる朝鮮族は、中国パスポートを持って来日するほか、中国名を名乗る状況が、彼らを見えなくさせていると言われる。本報告では、いわば「不可視的エスニシティ」である朝鮮族を可視化しうるデータや調査結果を示すことにより、朝鮮族をめぐるステレオタイプ化された認識を刷新しうる素材を提示する。
まず、入手可能な公的な統計資料、朝鮮族に関する新聞報道の記事、報告者による実態調査の結果などを考察しつつ実像に迫る。次に、朝鮮族の日本への移動を促している制度的、政策的な背景について、年代別にその特徴を探る。さらには、移動主体である朝鮮族のインタビュー事例を通して得られた移動の動機に関する傾向、朝鮮族の移動を方向付ける文化資本、多言語話者としての相対的な優位性及びそれ故に抱えるディレンマなどについても言及する。
以上の議論を踏まえ、報告の終盤では、朝鮮族コミュニティの活動内容や、来日した朝鮮族による他国への再移動に触れる。日本には、数々の関連団体や小規模のネットワーク化された集合体があるが、日本に定着することなく移動を繰り返す朝鮮族も少なくない。結論として、朝鮮族が国境に跨るトランスナショナルなエスニック社会を構成していることにより、朝鮮族を「周辺的マイノリティ」と見なす国家中心的な観点が相対化されつつあることを述べる。
韓国・朝鮮文化研究会 事務局
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